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カテゴリー別アーカイブ: 目の正しい知識

パソコンとVDT症候群

パソコンを使って作業することにより、目の疲れ、肩の凝りや全身の疲れを引き起こす異常の総称を、VDT症候群、最近ではテクノストレスと呼びます。症状が高度になれば、イライラなどの精神症状や頭痛、吐き気までも生じ、女性の場合、生理不順を起こすこともあります。長時間のコンピューターゲームや携帯電話でのメールなどでも、同様の症状が出ることも考えられます。

パソコンの画面のチラツキ、まぶしさに加え、近い距離を長時間見つめることが疲労の原因になっています。老眼が始まる40歳過ぎからは、目の疲労はさらに強いものに容易に想像できます。また、画面を凝視するとまばたきの回数が極端に減り、目が乾くいわゆるドライアイの状態になります。ドライアイの状態になると、目は充血し、疲労に拍車をかけることになります。パソコンの場合は、もう一つ、姿勢の問題も重要です。不自然な姿勢での長時間の作業は肩こりを起こします。

さて、対策は。目の疲労なのですから、長時間連続したパソコンの作業を避け休息することが大事です。適当な眼鏡を装用し、画面にフィルターを付けるなどし、反射やチラツキを抑えることも有効でしょう。また、部屋の明るさや、画面、キーボード、マウスの位置などにも気を配る必要があります。キーボードは、正面に、画面はやや視線を下げた状態で見られるようにしましょう。さらに、ドライアイに対しては、意識的にまばたきをする。エアコンなどの風の当たる場所を避ける。加湿器をおくなどの方法が考えられます。さらに、含水率の高いソフトコンタクトレンズを装用していると、乾きやすいようです。長時間の作業になる場合は、めがねにかけ変えてみるのもひとつの方法でしょう。

現在すでにパソコンは、私たちの生活になくてはならないものになっています。一部のマニアやスペシャリストのものではなく、老若男女を問わず、日常から接しなければならない道具なのですから、上手な付き合い方ができるよう日頃から注意が必要であると思います。

シートベルトと眼外傷

ドライバーの皆さん、シートベルトはきちんと着用していらっしゃいますか? 1985年に、シートベルトの着用が義務づけられました。以来、フロントグラスによる眼外傷は減少しています。しかし、私の見る限り着用していない人がかなりいるように思えます。特に、若い方に多いようです。締め付けられる感じがするとか、運転がしにくいとか理由は色々ありますが、いかがなものでしょうか。

シートベルトをしていないために起こる眼の外傷は、通常フロント外傷と呼ばれます。つまり、衝突が起こったとき前のめりとなり、車のフロントガラスに顔や頭を突っ込み受傷するもので、下記のようなものがあります。

1.顔面外傷

顔やまぶたの皮膚をガラスの破片で受傷するもので、フロント外傷の場合、多かれ少なかれ起こるものです。お見合いの前の日に、事故を起こし顔に無数の傷を負い百十数針も縫った若い女性の例を経験したことがありますが、悲劇です。傷痕は残るわけですから女性にとっては一生の問題です。

2.眼球壁裂傷

角膜(黒目)や白目(強膜)を切ってしまう場合です。裂傷の程度、場所によって様々ですが、失明に至る可能性があり、顔面裂傷の次に多いものです。

3.その他

まれですが涙小管断裂(涙の通り道が切れてしまう)、視神経損傷(一瞬にして失明してしまう)といったものがあります。

最近の車には、エアーバックが装備されていますが、この機能もシートベルトをしていて初めて生きるものと言われています。ほんのちょっとの不自由があなたの命を、眼を守ります。運転している本人はもちろん、家族や同乗者の方が注意することが必要ではないでしょうか。

近視矯正手術とは?

現在の白内障手術は、特別な例を除いて、水晶体(レンズ)の皮を一枚残し、内容物を取ってしまい、袋状に残った皮の中に人工水晶体を埋め込むという手術です。

内容物を取るために、最近では超音波で砕きながら吸引する装置を使います。手術時間は、通常10分~30分。傷口は、3~6mmくらいと、小さいため、術後傷口が開いたりすることもなく、日帰り手術が可能となりました。日帰り手術が、広く行われるようになった原因は、その他にもあります。日帰りであれば、入院ベットのない病院でも手術が可能だからです。

ただ、全ての例で日帰り手術が可能なわけではありません。全身的に、大きな病気を持っている方、たとえば心臓病や糖尿病などを持っている方、80歳以上の高齢の方は、手術後、全身症状が急変することもあり、入院したほうがよいと考えます。また、日帰り手術をしても、術後何日かは通院しなければいけないことを考えると、高齢者や通院に時間のかかる方も、4、5日入院した方がよいかもしれません。

日帰り手術の適応には、眼科医によって差があり、かかりつの先生や手術医とよく相談されることが必要でしょう。

お茶も漢方薬、菊花茶は目に良い

中国の烏龍茶は日本でよく知られ、高評のある中国茶の一種です。 このほかに、緑茶、紅茶、ジャスミン茶などがあります。これらの お茶は普段、飲み物として、飲用されますが、実は古くから漢方の 一種として、使われてきました。

中国古代の本草書(ほんぞうしょ)(漢方薬を記載する薬物専門書) 『神(しん)農本(のうほん)草(ぞう)経(きょう)』には漢方の神様― 神農様は百草を嘗め、効能効果を確かめる際、一日に七十二回、中 毒し、お茶で解毒したことを記載しています。お茶は優れた飲み物 でありながら、漢方薬でもあります。 一方、漢方薬でありながら、 お洒落な飲み物として、よく利用されるものもあります。 それは 菊花です。

しかし、菊の品種は大変多いのですが、漢方に使えるのは数種し かありません。一般的に、中国安徽省産の「貢(こう)菊花(きっか)」 と浙江省産の「杭(くい)菊花(きっか)」がよく使われます。  「貢菊花」と「杭菊花」をお茶として飲みますと、次の効果が期 待できます。眼精疲労の改善、眼病の予防など、目のトラブル全般 に作用します。これは漢方では「明目」と呼ばれ、目のかすみ、視 力の低下、疲れ目、目の充血、目の乾き、目のかゆみなどに効果を 発揮します。

菊花にはビタミンAが多く含まれるので、パソコン作業で目を酷 使している人は、日ごろに菊花茶を積極的に摂るようにするとよい でしょう。その他、鎮痛、解熱、解毒作用、風邪初期の治療、高血 圧症の頭痛、目眩の軽減、慢性咽喉炎の腫れ、痛い症状の軽減など にも効果があります。 飲み方は極簡単です。透明なガラスコップ 或いは急須にお湯300mLに対し、「貢菊花」または「杭菊花」6~ 10個ぐらいを用いますが、多く使っても構いません。または、

一般 のお茶を入れる時に、「貢菊花」或いは「杭菊花」を加えても良い と思います。
ところで、目の疲れ、乾き、目眩などは中国漢方理論では、肝と 腎の不具合によるもので、肝と腎を補ったら、目はより健康になり ます。漢方の菊花は肝を良くする効果がありますが、腎を良くする 力は足りませんので、そこで、菊花茶に枸杞子(くこし)(枸杞の実) 10粒ぐらいを加えると、肝と腎を同時に良くすることができます。 白い菊花に赤い枸杞子を加えると、目を良くし、また、見た目も綺 麗でとてもお洒落な飲み物になります。

枸杞子の力:肝臓と目に健康を

最近はスーパーなどの中華食材売り場で枸杞の実を売っているのをよく見かけます。色の美しさとほのかに甘みがあって、味にもクセがないことで人気があるようです。

中国漢方では、枸杞の実は枸杞子(くこし)とよばれ、「補肝腎・明目」の薬効があるとされ、肝と腎を補い、目に良いとされています。
枸杞子は我々の体にある五臓六腑の中でも最も大事な肝臓と腎臓の機能を強化する効果があります。 一方、目は肝臓の血の滋養に依存すると同時に、肝の機能状態を目に反映すると言われており、肝血不足の場合、目がかすむ、夜盲症、目の乾燥感や異物感、視力減退などの症状が現われます。

枸杞子にはベタイン・ゼアキサンチン・フィサリエン、ビタミンA、B1、B2、C、ミネラルなどの成分が豊富に含まれており、現代の薬理の研究によって次のことが証明されています。肝機能の保護作用、脂肪肝改善作用、免疫機能の増強と調整作用、老化防止、骨髄造血機能の促進作用、血中コレステロール・中性脂肪値の降下などです。つまり、枸杞子は目の健康、体全体の健康のために大きな力を発揮します。枸
杞子の利用法は極めて簡単です。新鮮な枸杞子は綺麗に洗ってから、ミニトマト感覚で食べられます。乾燥した枸杞子は干し葡萄のように、そのまま食べることもできますし、また、水に数分間漬けて、やや戻してから、スープ、お粥、煮物、炒めものとどんな料理にも違和感なく使うことが出来ます。特にお薦めはサラダに混ぜて、食べることです。

枸杞子は副作用もなく、摂取量も余り気にせずに、手軽に利用できる漢方薬の一つです。ぜひ試してみてください。

羅漢果(らかんか)茶:目の乾きを改善

現代の日本社会では、どこにいってもエアコンが効いていて、冬は暖かく、夏は涼しくと室内は常に快適な温度に調節されています。しかし、長期間、エアコンの効いた部屋にいるうちに、われわれの体は知らず知らずに変調をきたしてしまいます。

とくに、長時間コンピューターを使って作業している人たちは、よく目の乾きを引き起こします。最近はドライアイという名で知られています。その場合、漢方薬のお茶を飲むと、目の乾きが改善することがあります。

たとえば、前回・前々回に紹介した菊花茶、枸杞子茶にも、そのような効果が期待できますが、今回は目の乾きを改善するもう一つの漢方茶を紹介します。それは羅漢果(ラカンカ)です。 羅漢果はウリ科の多年草つる性植物で、学名をMomordicae grosvenori Swingleといいます。中国特有の植物で、広西省の「桂林」辺りにしか育ちません。羅漢果は清王朝嘉慶年間(1769~1826年)、瑶(ヤオ)族の医師であった『羅漢』の名をとってつけられた植物です。

羅漢は、果実に薬効があることが分かっています。その効果はあらゆる病の予防と治療に効果を発揮する事がわかり、不老長寿の「神果」とまで言われるようになりました。 羅漢果は、清涼感があって甘く、一日、3~6gぐらいをお茶として飲むことにより、二三日後に、目の乾きが改善されます。羅漢果には毒性はなく、肺病の熱や咳、腸の不調、高熱にも良く効きます。消化を助け、解熱、去痰の作用があります。

そのほかにも、肝臓、膵臓に好影響を与え、血圧を正常に戻し、糖尿病にも効果があるとされています。羅漢果の成分は、ビタミンE(トコフェロール)、鉄、リン、マグネシウム、カルシウムなど、現代人に不足しがちなミネラル分を豊富に含んでいます。特に「ビタミンE」と「鉄分」が多く含まれています。
体中を健康にする羅漢果を一度ためしてみてはいかがですか。

五臓六腑を良くする山薬

中国漢方では人体の五臓六腑は五官と密接に関連すると考えられています。例えば、肝臓の具合が悪くなると、目に反映し、目がかすんだり、視力が低下したり、また夜盲症などを起します。腎臓の具合が悪くなると、耳に反映し、耳鳴りや聴力低下などを起します。心臓の具合が悪くなると、顔に反映し、顔
色が悪くなります。それらのことを引き起こさないため、普段の生活で五臓六腑を良くすることはとても大切です。中国漢方薬には五臓六腑を良くする生薬が沢山あります。

ここでは、山薬(サンヤク)という生薬を紹介しましょう。 山薬はヤマノイモ科(Dioscoreaceae)ナガイモDioscorea batatas Decne.の乾燥した塊状根です。日本ではその新鮮なものをやまのいも(山芋)、じねんじよう(自然生)と呼んでいます。まさに食薬両用、医食同源の代表的なものです。新鮮なもの、山芋 乾燥した生薬、山薬 山薬は脾を健やかにし、肺を潤し、腎を固め、肝を補い、精を益するなど、身体の各部を活発にする効果があります。それはステロイドと近似した成分が入っているためです。副作用は全
くありませんので、たくさん食べでも構いません。山芋の食べ方は日本の皆さんは慣れていると思います。乾燥させ生薬にした山薬はお茶のように煮て飲むことができます。また、粉にして、小麦粉と混合して、お菓子や中華マンにするなど自由に使ってください。

ところで、山薬はいろいろな漢方薬の処方に配合され、多彩な治療効果を発揮します。いちばん有名なのが八味丸、八味腎気丸とも言って他の七種の生薬と合わせて、肝と腎を健康にします。特に、腎虚(全身の老化現像)に使われます。 下半身が若返をすれば、夜2回も3回も行くようになる夜間尿が減り、上半身も若返り、白内障や老眼も良くなり、遠くなった耳もよく聞こえるようになります。 普段の食事や生活に、山薬を取り入れ、老化を遅らせましょう。

玉蜀黍の摂取で、目の老化などを遅らせる

古代中国では薬として使用されていて、現在は食物として食べられているものが数多くあります。しかし、その一部は近年の研究で新たに素晴らしい効果が認められ、注目されています。今回はこのようなものの一つ、玉蜀黍(トウモロコシ)について、紹介します。

玉蜀黍は中国明朝の名医―李時珍(1518年 – 1593年)が編集した薬の専門書「本草綱目」に生薬として記載していました。 近年の研究ではトウモロコシの色素であるルテインとゼアキサンチンは、紫外線など有害な放射線から守るフィルターの役目をすると共に、抗酸化物質としてフリーラジカル(活性酸素)がもたらす細胞障害を防ぐ働きがあるとされ、目の機能強化、白内障や黄斑変性症などの眼病予防に役立ち、目の老化を遅らせます。

また、必須脂肪酸のリノール酸も多く含まれているので、コレステロールを下げ、動脈硬化の予防にも役立ちます。リノール酸は体の健康を維持するために大変重要な成分で、体内で合成されないため、食べ物から摂取しなければなりません。トウモロコシは、重要な摂取源といえます。

さらに、トウモロコシには、ビタミンが豊富に含まれています。特に『若返りのビタミン』と呼ばれるビタミンEはビタミンのなかで最も強い抗酸化作用を持ち、血行を良くし、冷え性、肩凝り、更年期障害の緩
和にも役立ちます。 トウモロコシは古くから漢方薬として、認められた歴史があると同時に、立派な食物でもあります。日ごろから摂取することによって、眼病の予防、目の老化を遅らせ、または、生活習慣病予防効果が期待できます。

蓮(ハス)の話

(ハス)は中国やインドなどでは神聖な花として扱われる植物です。その根茎のレンコンは日本で馴染み深い食品のひとつであり、長い食用の歴史を持っています。中国漢方では、蓮の各部位はそれぞれの効
果があるため、区別して利用しています。今回は蓮の各部位の概要を紹介し、次回から各部位の効果及び利用法を説明します。

蓮はスイレン科ハス属の植物で、学名はNelumbo nucifera GAERTNです。 その地下の根茎はレンコンです。生で食用すると、肺を潤わせ、血行を良くするなどの効果があります。熟して食用すれば、食欲増進、滋養強壮の効果が期待できます。蓮の葉は中国漢方では荷葉(カヨウ)と称し、古くから安全な痩せ薬として、利用されています。

また、高脂血症などにも効果があります。蓮の果実は蓮実(レンジツ)と言い、皮を剥いてから更に果実中心にある胚を抜き取ったものは蓮肉(レンニク)と呼ばれ、鎮静作用、強壮滋養などの作用を有します。蓮実の中心から抜き取った胚は蓮芯(レンシン)と呼ばれ、強心作用、血圧を下がるなどの効果があります。同じ植物でありながら、各部位に蓄積された有効成分が違い、薬理効果も異なり、区別して利用すべきなのです。

 

(ハス)の根茎の蓮根(レンコン)は中国、日本などで馴染み深い食品のひとつです。中国漢方では熟したレンコンは「調中開胃、益血補髄、安神健脳」とされます。言い換えれば、胃腸をよくして、食欲の促進、血行の 促進、睡眠をよくし、老化を遅らせる効果があります。生のレンコンは「清熱潤肺、涼血行?」とされ、体に潤いをもたらし、?血を取り除く効果があります。 夏場は生のレンコンをミキサで汁にして、そのまま飲めま す。

また、レンコン汁は蜂蜜、生姜汁、ブドウ、梨の果汁などと混合してから飲むと、夏の清涼健康飲料になります。 レンコンから得られた澱粉はお湯に溶かすと、美味しいお菓子になります。 レンコンの節も立派な漢 方薬です。それを煎じて、飲むと、痔の出血を治療する効果があります。 近代の薬理研究ではレンコンに含まれる食物線維がコレステロール、グリセリンエステルと結合して、便と共に排出させる効果が認められ、脂質の吸収を抑制してくれます。つまり動脈硬化や高血圧予防効果が期待 できます。

また、レンコンにはタンニン酸が多く含まれており、止血の働きがあり ます。 レンコンを切った時に糸が引きます。これは納豆やオクラ、里芋 などに含まれる糖タンパク質ムチンによるものです。胃壁を保護し、タン パク質や脂肪の消化を促進します。 他には、レンコンに鉄分、カルシウ ム並びに微量元素、タンパク質、ビタミンなどを豊富に有し、高い栄養価 値を持っています。 レンコンはお年寄り、女性、子供の健康維持に大い に貢献できるというわけです。