基本的な事

毎日のケアが基本です

レンズケアは忘れないように毎日行って下さい。原則としてはメーカー指定のケア用品を指定通りのケア方法で行う事が大切です。しかし、メーカー指定が漬け置き洗浄であっても、汚れが強い場合には擦り洗いが必要です。
また色んなタイプに使えて、洗浄や保存用にも使える「汎用ケア用品」は出来るだけ避けて下さい。手抜きや間違いの原因になりがちです。

一般的なケアの方法

ハードレンズ 洗浄 / すすぎ / 保存 / タンパク除去
ソフトレンズ 洗浄 / すすぎ / 保存 / 強力タンパク除去 / 消毒

コンタクトレンズの寿命

一般的にはソフトコンタクトレンズで1年~1年半、
ハードコンタクトレンズでは1年半~2年が寿命の目安と言われています。

間違いだらけのケア、正しいケア

×  煮沸消毒してから洗浄している

煮沸消毒を先にしてしまうと加熱されたタンパク質がレンズに固着し、その後の洗浄でも落ちにくくなってしまいます。

○先に洗浄して下さい。

×  漬け置きしておけば大丈夫

漬け置きだけでは汚れが十分に落ちません。必ず擦り洗いが必要です。やり方は下記の通りです。

1. 手を清潔に洗う
2. 一度レンズケースにコンタクトを浸し、手のひらに乗せます。
3. ケア用液を数滴落とし10秒間擦り洗いをします。
※同一方向に対して往復するように擦って下さい。
※円を描く様に擦る方法はレンズを破損しやすい為避けて下さい。
4. 裏返し、同様に10秒間擦り洗いをします。
5. 表面の残留物を取り除く為、両面をケア用液で十分にすすぎます。
6. 液を満たしたレンズケースにコンタクトを戻し、キャップをしめ4時間以上放置します。

 擦り洗いも必ず必要です。

×  メイク後にコンタクトレンズを装着している

化粧品は石鹸などでも簡単には落ちません。手に付いた微量の化粧品が、コンタクトレンズ装着時に移ってしまいます。また、コンタクトレンズ装着後の濃いアイメイクは控えましょう。

 先にコンタクトを装着。アイメイクはほどほどに。

×  レンズケースを洗った事がない

コンタクトレンズを漬け置きする為のレンズケースが汚れていては本末転倒です。レンズケースの衛生状況にも気を配って下さい。

 レンズケースも時々擦り洗って下さい。

×  水道水だけどちゃんと洗ってるから大丈夫

水道水の場合は含有する塩素やミネラルが、真水の場合には浸透圧の格差が、それぞれレンズの含水率や形状に影響を与える可能性があります。
必ず眼科医に指示されたレンズケア用品を使用して下さい。

 水道水や真水は使用不可。ケア用品をご利用下さい。

×  使い捨てレンズは使用しなかった日を加算出来る

使い捨てレンズの使用期限は、ブリスターパック開封からの経過日数を指します。1日置きに利用したからといって、利用期間が倍になるものではありません。

 開封後は使用、不使用を問わず利用期限を守って下さい。

ハードコンタクトレンズ

ハードコンタクトレンズの優れた点

最近、ソフトコンタクトレンズ(SCL )特に使い捨てソフトコンタクトレンズが急速に普及し、ハードコンタクトレンズ(HCL)の使用者が減る傾向にあります。SCLは装用感が良く、ずれも少ないのですから仕方のないことかもしれません。

しかし、HCLにはSCLより優れた面があります。それは、

1. 像のシャープさ

視力検査では、同じ1.5であっても、SCLよりすっきりとした感じに見えます。

2. 乱視矯正能

コンタクトレンズとは角膜の上にのるレンズです。HCLはレンズと角膜の間を涙が埋め、レンズの働きをするため、SCLより乱視の矯正に優れています。

3. 取扱の簡便さ

SCLのように、滅菌の必要がなく、こすり洗いによって 破けることはありません。

4. アレルギーの少なさ

SCLは汚れが、レンズ表面だけではなく、レンズ内にも蓄積し、アレルギー性結膜炎の原因になります。
一方、HCLは、汚れは表面につくだけですから適切な洗浄により汚れはなくなり、したがってアレルギーは起きにくくなります。

ハードコンタクトレンズ装用時の充血

Q (充血)  HCLを使っています。

以前からそうでしたが特に最近になって、目が赤く充血するようになってきました。白目のところに両目とも赤い筋が入り、目に痛みを感じます。
コンタクトレンズを作ってもらったところに行っても、「大丈夫です。ちゃんと目にあっています」と言われるのですが、毎日しょっちゅう目薬をささないと充血する上に目にあっていないような異物感を常に感じます。日に日に痛さが増してきます。レンズが欠けているわけでもないし、朝晩丁寧に洗って手入れをしています。ここまで痛いと、HCL自体が目に合っていないということでしょうか?

A HCLは生体である眼に装着してます。

そのため、体調や環境の変化など によって、レンズと眼の相性が微妙に変化することがあります。
眼が赤く充血して、異物感を感じているとのこと、レンズが眼にあっていないために起こっている場合があります。
レンズの付け始めは、眼は異物であるレンズを入ったために、いつもよりたくさんの涙を出します。

しかし、慣れて平常の涙の量にもどると、

(1)レンズの縁が、角膜の周辺部にぴったりくっつきすぎて、涙の交換状況が悪くなり、充血します。この場合圧迫感や異物感があります。
(2)逆にレンズの縁が角膜周辺から離れすぎていると、表面張力が弱くなり、その隙間を涙で満たそうとして、周辺の涙を引き込みます。涙の油膜層が乱れ、蒸発しやすくなり、充血することがあります。この場合には乾燥 感やくもりが伴うこともあります。
(1)の場合でしたら、レンズの内面の縁のカ-ブ(ベベルといいます)を少し緩やかにするように切削・研磨すれば解消し(2)の場合は、 レンズエッジの前面のベベルを削り、エッジリフト(エッジの浮き上がり量)を小さくすれば、解消します。

ハードコンタクトレンズ装用時の異物感

ハードコンタクトレンズは、固くて目の上で動くものなので、どうしても慣れてくるまで異物感があるものです。 しかし、数週間しても、異物感がなくならない。異物感を我慢していることが結構ありませんか?

ハードコンタクトレンズは、デザインを修正し、異物感が軽減させることができることを知っていますか?

HCLの利点(乱視の良好な矯正、シャープな見え方)を優先させてしまい、異物感があるにもかかわらず、口に出して不調を訴えずに我慢してしまうことがありませんか。

また、「コンタクトレンズの調子はいかがですか」と聞くと、「調子よく使っています。」 と、おっしゃる患者さんでも、コンタクトレンズの上側のエッジが黒目の端に当たっており、エッジの上がり具合を高く調整してやることにより、”はめていないみたいに楽です”、と劇的な装用感の改善をみることもあるのです。

さらに、異物感の訴えがなくても、じっくり観察すると患者さんの外見から異物感の推定が可能です。HCLを装用している患者さんが、(a)顎を突き出す姿勢をとりかつ、(b)眼を細くして正面を見ていると、異物感の存在が示唆されます。HCLをはずすと、姿勢と眼が普通に戻れば、異物感の存在は確実です。この姿勢は独特のもので、街で、(a)+(b)の女性を見かけると、HCLの異物感に悩む患者さんが結構多いと感じます。原因はエッジリフトが小さいせいであり、瞬きする度にエッジが12時のリンブスにコツンコツンと当たり、異物感を感じます。患者さんは、これを避けて異物感を軽減するため、このような姿勢を取るのです。このタイプの異物感解消には、エッジリフトを大きくするデザイン調整が有効です。 なお、”くもり”の苦情があり、瞬きが浅いとき、深い瞬きを指導することがあります。しかし、異物感回避のため、瞬きが浅くなっている場合もありますので、問診で異物感をチェックし、異物感があれば、瞬きの 指導だけでなく、異物感を軽減するデザイン調整が必要です。

ハードコンタクトレンズのドライなくもり

空気が乾燥する季節になると、ちょうどガラスに息を吹きかけたように、瞬き直後から、コンタクトレンズの表面にふわっとした “くもり”が生じ、物が見にくくなることがあります。これを、”ドライなくもり”と呼んでいます。

一般に、レンズが角膜の上の方に止まってしまう場合に多いようです。

原因

エッジの浮き上がりが大きすぎるため、レンズ表面に流れる涙の量が少な くなり、水の蒸発に対して涙の補給が少なくなるために起こります。特に、空気の乾燥する季節やクーラー、ヒーターなどの良く効いた部屋などで、”くもる”、そして分泌物などが残る”汚れ”が認められることがあり、時には”ドライアイの疑い”と考えられることもあります。

対策

コンタクトレンズ(CL)を安全に装用するためには、瞬きをした時の涙液交換が必要です。装用されたレンズの両面は涙に浸されているのですが、レンズのエッジは涙液をレンズ上とレンズ下に振り分けていると考え られます。ですから当然、エッジの浮き上がりの量を変えることになります。具体的には、レンズのフロントベベルをカットして、エッジの浮き上がり量を小さくします。すると、レンズの下方へ流れる涙の量は少なくなり、レンズ表面に流れる涙の量が増加します。

この修正方法は、 上方にレンズが停止してしまう場合の改良にもなります。

ハードコンタクトレンズの下方固着

ハードコンタクトレンズ(HCL)の下方固着とは、本来ハードレンズはまばたきの度に、上下に動き涙の入れ換えをすることが必要なのですが、レンズが下方にずれたまま動かなくなることがあります。これを、コンタクトレンズの下方固着といいます。

HCLの下方固着は、主にレンズデザインが眼の形状に合っていないため起こります。
1)充血、2)疲れる、3)視力不良等の症状を伴い、HCLの使用者には大変苦痛なものです。
HCLの下方固着はコンタクトレンズを最初に作るときにはわかりにくいものです。その理由は、最初レンズをつけた時は、日常と違って、刺激で涙とまばたきが多く、レンズがよく動くためです。この検出しにくいレベルの下方固着を見つけるには、涙液の分泌が安定するまで待ってフィッティングの評価を行うことが必要です。

下方固着の解消法には以下ようなものがあります。

1. HCLのカーブを大きくする

まぶたによるレンズの引き上げがうまくいく場合があります。

2. サイズを大きくする

しかし、まぶたの圧が強くレンズが押し出されてしまう場合があり、この時はサイズを小さくする。

3. レンズデザインの調整(注)や指定ができる場合は、レンズのエッジのうき上がりを大きく、幅広くする。
4. レンズの前面周辺に溝をつける

まぶたと溝の摩擦によりレンズを引き上げる。
または、レンズの周辺を、つばのようなデザインのフロントウェーブにデザイン指定する。

緑内障の早期発見の為に まずはチェックシート